高知)広がる笑顔 「おもちゃ病院」オープン
広江俊輔
2015年9月15日03時00分
壊れたおもちゃを修理する「おもちゃ病院」が、高知市と南国市でオープンした。機械いじりや日曜大工が趣味の「おもちゃドクター」が丹精込めて修理する。依頼主は子どもから大人まで様々。完治したおもちゃを手にすると、みなが笑顔につつまれる。
12日、高知市のNPO県生涯学習支援センターの一室。主に白髪交じりの「おじさん」たちが、おもちゃのクルマやぬいぐるみに真剣な表情で向き合っている。彼らはボランティアの「おもちゃドクター」、最年長は81歳。元電器屋のような専門家もいれば、機械をいじるのが趣味だという人もいる。
この日、お母さんと一緒に訪れたのは岡林亜実ちゃん(4)。音の出なくなったおもちゃの電話を持って来た。ドクターがはんだごてで切れた配線をちょいと直す。音が出ることを確認した亜実ちゃんは、ドクターたちに満面の笑みを見せた。それにつられてドクターたちもほほえんだ。「この笑顔に出会えるのが楽しみなんだよ」
別の女性(58)が持参したのは、動かなくなったオルゴール。ドクターが診断したところ、ゼンマイの油が固まっていた。掃除して潤滑油を入れると、「白鳥の湖」のきれいな音色が流れはじめた。女性は目をうるませた。「25年前に息子が景品で当てたものなんです。最近孫が生まれ、またこのオルゴールの音を聞かせたいと思っていた。よかった」
その日のうちに直らないと判断されれば「入院」となる。新井健斗君(5)と絆斗(はんと)君(2)の兄弟はこの日、8月下旬に入院させていたおもちゃの銃を受け取りに訪れた。元通りに派手な光と音を出すようになった銃を見て、2人ははにかみながらもうれしそうな表情を見せた。
高知おもちゃ病院は4月にプレオープン。試行錯誤しながら半年足らずで120個以上のおもちゃを直し、「完治率」も90%を超える。実績十分と、9月に高知市と南国市で正式オープンするに至った。事務局長の竹内博則さん(66)は「そもそも、おもちゃは壊れるもの。そして時間をかければたいていは直せる。この病院で、物を大切にする心を育んでほしい」。
おもちゃ病院が開院するのは土曜日の午前10時~正午。第1、第3土曜日は南国市大埇甲のからくり創造工房で。第2、第4土曜日は高知市大原町のNPO県生涯学習支援センターで。問い合わせはおもちゃ病院事務局(080・2990・3330)へ。(広江俊輔)
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